下平体制になってから柏レイソルの特徴と今後の課題
みなさんお久しぶりです。Jリーグも後半戦に差し掛かり、みなさんが応援されているチームの順位はいかがでしょうか。ちなみに僕はこれといった応援しているチームがないため、毎週気になったチームを追いかけているだけですけれども。まあ、強いて言うなら海外チームになりますが、岡崎選手が所属しているレスターシティぐらいでしょうか。
今日は下平監督になってからの、柏レイソルを取り上げようと思います。理由は、今季始まってから柏の試合を定期的に見ており、ユース上がりの選手も試合で活躍しているからです。
今年の柏はブラジル人のミルトン・メンデス監督が開幕前に就任しましたが、リーグ戦わずか3試合でチームを離れるという事態に陥りました。この監督謎なところが多くてですね、甲府からやってきた伊東を右サイドバックにコンバートしたり、昨年まで主力のセンターバックのエドゥアルドを川崎に追いやったり、チーム内にキャプテンを1人に絞らず7~8人を設定したりとほんとお騒がせな人でした。逆に、キャプテンに選ばれなかった2~3人に対して失礼だと思うんですがね。
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まあメンデス前監督の話はこの辺で。その後抜けた監督の穴に、当時ヘッドコーチをしていた下平監督がリーグ戦第4節から就任しました。下平新体制となってからの柏は早々にリーグ戦で5連勝をやってのけ、未勝利だったチームを見事に立て直しました。こんなに早くチームを立て直せた理由として、下平監督はつい最近まで柏アカデミーの監督をしていたことが上げれます。トップチームには当時の教え子であった選手が数多く在籍し、監督自身が選手の特徴などをよく理解していたことが良かった点だと思われます。
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では、下平体制になってからの柏の戦い方を見ていきます。
サイドバックにコンバートした伊東のポジションをどこに置くか
昨年、甲府に所属していた伊東はアタッカーのポジションであるウイングで起用されていましたが、上記にも述べたように、メンデス前監督は彼を右サイドバックにコンバートすることを決意しました。その理由は伊東のスピードにあり、右サイドからの突破力に期待したものでした。しかし実際には、伊東は高い位置でプレーすることがあまりなく、守備に追われる場面が多くありました。
そこで下平監督はシステムを変更し、伊東を同じ右サイドバックに置く4-1-4-1の布陣を採用しました。
このフォーメーションの特徴は攻撃時にアンカーの選手を最終ラインに落とし3バックを形成することで、両サイドバックを高いポジションに押し上げれることです。こうすることで相手のサイドハーフはサイドバックの高いポジショニングに釣られ、自陣深くまで守備に追いやられることになります。また、相手のサイドハーフがあまり守備に参加しないのであれば、相手のサイドバックのポジションまで進入し、より深い位置でのプレーが可能となります。
そしてもう一点、攻撃時に3-4-3のシステムに変更する特徴として、最終ラインが3枚になるとこで、相手のFWのプレスを外すことができます。3対2と数的有利な状況を創りだすことで、柏は最終ラインで攻撃を組み立てやすくし、前線にボールを供給できます。
主にこの2点の特徴がハマり、早いチームの立て直しに成功しました。
しかし、両サイドバックが攻撃時に高いポジションを取るシステムではありましたが、守備時には最終ラインまでリトリートし、ゴールに近いエリアでの守備をしなくてはなりません。守備があまり得意でない伊東にとって、この問題の解決策が必要となりました。
次に監督が考え出したのが、4-4-2のシステムを採用して、右のサイドハーフに伊東を起用するといったものでした。
このシステム、攻撃時にはシンプルに4-2-4のような形で攻めるのではなく、少し選手の配置が複雑化します。図でも書きましたが説明しますと、攻撃時には先ほどのシステムと同じく3-4-3に変形することには変わりはありません。選手の動き方は、センターバック2枚と右サイドバックを左にスライドさせることで、左サイドバックを高い位置に陣取らせます。左センターハーフ、センターフォワード、セカンドトップの3人が3トップを形成し、右サイドハーフの伊東は右のウイングバックに入ります。簡単に言うと、ダブルボランチ以外の選手が左方向に円を描くような形にズレるといった感じでしょうか。こうすることで伊東は、守備時に最終ラインまで戻る必要性がなくなり、また、攻撃時には相手のサイドバックとサイドハーフの間の曖昧なポジションでプレーすることができます。
このシステム、よく考えてるなと感心させられたのが、伊東と同サイドの右サイドバックにセンターバックが本職の鎌田を起用することで、伊東の攻め上がったスペースのリスク管理をしっかりと行っていることです。もしここにサイドバックが本職の選手を起用してしまうと、その選手が抱える守備での負担が大きくなることで、失点に繋がってしまう可能性があります。
また、先ほどのシステムと同様、最終ラインが3枚に変形することで、相手のフォワード2枚のプレスも交わしやすくなります。
次の特徴として、左サイドバックの攻撃参加がしやすくなる点です。柏の左サイドバックは輪湖、山中のどちらかが起用されていますが、この二人は攻撃的なサイドバックのため、相手陣内でのプレーを得意としています。後ろは常に3人いるので、左サイドバックを左ウイングバックにまで思い切って押し上げることができます。
そして最後に、現在柏が取り入れている4-4-2のシステムがあります。
このシステムは攻撃時にセンターバック二枚だけを残し、2-5-3のような形に変形します。前線はディエゴ・オリヴェイラ、クリスティアーノ、伊東と、個人技抜群の3人を配置して、両サイドバックをがんがんに上げるといった超攻撃型へとチェンジします。
これを見ると、攻撃時に伊東のポジションが更に上がり、ウイングでプレーしているのが分かります。本来の彼の適正ポジションに戻したと言った方が分かりやすいですね。伊東をこのポジションで起用することで、得点とアシストをする回数が増え、得意のドリブルからの仕掛けも増えるなど、彼の特徴が十分に発揮されるようになりました。
そして両サイドバックは相手陣内まで進入するため、相手の両サイドハーフは最終ラインに吸収させられ5バック気味になってしまいます。その結果、相手の両サイドハーフは攻撃時にあまり高い位置をキープできず、上下運動も多くなるため、スタミナの消耗が早くなってしまいます。
しかし反対に、超攻撃型であるが故に、センターバックの横のスペースを使われることも少なくありません。分かりやすく、図で説明しますとこんな感じに
そしてもう一つも、ガンバ戦から
と、こんな感じでセンターバックの両脇を狙われることがあります。
その他の欠点は、ビルドアップをする際にセンターバックが2人しかいないので、相手のハイプレスを外すことがなかなかできません。図で説明しますとこんな感じに
その辺もあってか、ダブルボランチのどちらかが最終ラインでボール回しに加わり、セカンドトップの武富がその抜けたボランチの穴に入るという形で対応するときもあります。
では、今度は柏の弱点を見ていきます。
それはセットプレー(特にCK)からの失点が多いことです。2ndステージに入ってから既にセットプレーから5失点を喫しており、内3失点がコーナーキックからのものでした。
柏はCKの際、ゾーンディフェンスで守ります。フィールドプレイヤー全員を自陣に戻すことも珍しくはなく、G大阪、横浜MからのCKの失点も全員を戻したゾーンディフェンスからでした。
ゾーンディフェンスの弱点は背が高くない選手のところにボールが蹴られると、対応しきれないということがあります。柏はボランチの大谷の身長が172センチとあまり高くない選手のため、ここを狙われての失点が何度か見られました。
今度は横浜Mでの場面から
大谷のところを狙われ、こんな感じになってしまいます。
次にゾーンディフェンスの弱点として、走り込んで来た相手選手よりも、定位置で守っている選手の方がジャンプ力が低くなってしまいます。走り込んで来た選手は助走が付けられることで勢いを付けることができ、その場のみでジャンプする柏の選手は不利になってしまいます。
ただでさえヘディングに強いハモロペに助走が加われば、柏の選手は守り切るのも難しいです。
横浜M戦でも基本はゾーンディフェンスでしたが、センターバックのファビオにのみマンツーマンで対応するコンビネーションを採用していました。これだけCKからの失点が増えているので、相手の注意人物にマンマークを付けるといったコンビネーションを使い分ければ、もう少しセットプレーでの失点が減ると思うんですがね。
最後に今季の柏をまとめると
1、伊東のポジションは昨年のように前線での起用となった。
2、現在サイドバックガン上げシステムのため、センターバックの両脇を狙われる。
3、守備でのセットプレーが課題(特にCK)
以上の点が挙げられます。
特に2点目ですが、下平監督は両サイドバックをガンガン上げるスタイルが好きなようで、今季導入してきたシステムはどれもサイドバックの攻撃参加を特徴としています。右に湯澤、左に輪湖を配置した両サイドバックのシステムはまさに諸刃の剣であり、攻撃に人数を多くかけます。しかし、ここ数試合は右サイドバックに本職がボランチとトップ下の茨田を起用していることから、少しは守備での改善が見られます。湯澤は守備の際、見ていてひやりとする場面が多くありましたからね。まあ、輪湖も同様ですはありますが。
両センターバックの裏、セットプレーでの守備の課題は今後改善してくると思われますので、就任1年目の監督さんに期待しようと思います。
では、今日はこの辺で。
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