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完全マンツーマン対応となったミシャダービー

 

みなさんこんにちは。Jリーグアナライズのじゅんのすけです。前節名古屋が勝利し、新潟と甲府が負けたため、残留争いが更に面白くなってきましたね。それにしても名古屋に闘莉王が戻ってきてから2勝1敗とは、おそるべし元日本代表センターバック。とうとう名古屋に残留の二文字がすぐそこまで見えてきましたね。逆に言うと新潟と甲府には降格の二文字がすぐそこまで見えてきました。さらに混戦となった残留争いと上位争い、残りの4節どの試合を見ようか悩んでしまいます。

 

そんな今回の記事では浦和対広島のミシャダービーを取り上げます。世間では広島の紅白戦だと面白おかしく言われていますが、試合前のドレッシングルームなんかを見ていると同窓会状態になってますもんね。この試合は先週の日曜日に行われましたが、記事のアップが今まで遅くなってしまいすみません。今週は特に忙しかったもので、サッカー好きの僕がサッカーどころではありませんでした。とまあ言い訳はこの辺にして、内容に入っていこうと思います。

 

まずこの因縁の対決であるミシャダービーですが対戦成績はと言いますと、広島はミシャレッズを苦手としているようで、浦和がミシャ体制となった4年間の通算戦績では負け越しています。しかしここ5連戦はそのような結果ではなく、2勝3分と広島は5戦で負けがなく、現在2連勝中です。ミシャダービーはミラーゲームになることからマンツーマンでのマッチアップが多くなり、試合がロースコアで終わることも珍しくありません。しかし今節の結果は浦和3-0広島とスコア上浦和の圧勝で幕を閉じましたが、内容を見てみるとどちらが勝ってもおかしくなかった試合であったと考えます。その理由は決定機数にあり、見ていて浦和の決定機数よりも広島の方が決定機数が多く感じられました。広島にはPKのチャンスもありましたしね。最後のところで決めきれる浦和、決めきれない広島というものが今の順位表に表れており、3点差もついた試合になりました。では今節の試合解説をしていきます。

 

システムはお互いがお馴染みの3421を採用しており、人もそこまでいじってきていません。浦和は槙野が怪我の影響で出場しておらず、代わりに宇賀神が1列ポジションを低くし、右の関根を宇賀神の場所に、空いた右に駒井を入れてきました。広島は森崎和ではなく丸谷という点以外は変わりありません。

 

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予想ではこの試合はミラーゲームになると思われていました。このブログでよく扱っている浦和、広島の攻守におけるポジションチェンジですね。ここでも簡単に解説しますと、攻撃時にはボランチの1枚が最終ラインに加わりビルドアップの役割を熟し、中盤アンカー1枚が前線にボールを配給し、前はフラットな5枚になります。守備時にはウイングが最終ラインまで落ちてき541の形で陣形で守備ブロックを固めます。図で表すとこんな感じになります。

 

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ミラーで対策を打つ理由としては、マンツーマンでの守備ができるという点が挙げられます。相手の5トップに合わせて5バックで対応できることから、守る側からすれば最終ラインで数的同数を創り出すことができます。そしてもう一点、パスの出どころある中盤のアンカーポジションに2枚で対応できるので、簡単に5トップへボールを配給させない狙いがあります。今節も同様にこの策を打ってくると思われていましたが、両チーム少しやりかたをいじってきました。

 

まず浦和の遅攻ですが、柏木と阿部の2枚を最終ラインに落とし、那須と3枚でビルドアップを開始します。両サイドのセンターバックは横の幅を使い高い位置を陣取り、前線では5トップを創ります。浦和がたまにやる形ですね。

 

次に広島の守備ブロックの作り方ですが、完全マンツーマンでの対応をしてきています。ダブルボランチ2枚が浦和のダブルボランチを見るのでかなり高い位置に青山と丸谷がいる状態になり、シャドーポジションの柴崎と茶島がサイドで張っている森脇と宇賀神を見るこことなっています。

 

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ここで注目すべき点は、中央にぽっかりとスペースが空いてしまっていることです。変則ミシャシステムに合わせたマンツーマン守備ですからこのような事態が見られ、広島は浦和をリスペクトしているなと感じたところでもありました。

 

今度は広島の遅攻ですが、システムのままポジション取りをしているといった感じです。ボランチ1枚を最終ラインに落とすことなく、3枚でビルドアップし、前線には両ウイングを上がらせ5トップになります。浦和の守備も広島と同様完全マンツーマンで対応し、攻守ともに見るべき選手が同じです。両チーム対策を練ってきすぎですね。意識しているのがもろわかりです。

 

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ではこういったマンツーマンでの対応が多くなった場合、どうやって試合を動かしにいくのでしょうか。ここからはマンツーマンの崩し方の解説を4点していきます。

 

まず1つ目がスペースを活かした攻め方です。オフザボール(ボールを所持していない状態)のときに、自ポジションから動いてスペースを創り出すことです。以前「ゼロトップ」の記事で取り上げましたが、センターフォワードポジションの偽9番が動いてスペースを創り出すといったあれです。この試合では浦和のシャドーである武藤と高木がよくこのスペースを創る動きをしており、広島の塩谷と水本がこの二人の動きに釣られて追いかけていました。そうすることで最終ラインにスペースが空き、そこを使った攻撃というものが何度か見られました。

 

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次の利点はこの動きをすることで、パスを簡単にもらいやすくなります。最終ラインと2列目の間でボールを受けに行くのでそこは誰もいない状態となっており、ボールを受けた後は前を向いてプレーしやすくなります。浦和の武藤と高木は試合を通じて、この動きが非常に良かったと感じられました。

 

次のスペースを使った攻め方も同じく浦和にありました。先ほど浦和の可変システムについて触れましたが、遅攻時には真ん中にスペースが空いてしまします。そこのスペースを使っての浦和3点目のシーンでしたが、写真で解説しますとこんな感じになります。

 

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この得点シーンの前に関根がアウトし、空いた関根のポジション(ウイングバック)に宇賀神がコンバートされ、宇賀神の位置に遠藤が入りました。外にポジションを陣取っていた宇賀神が隙を見てインサイドに流れてきたことで、マッチアップするはずのミキッチが途中で付いていくのをやめて、宇賀神が一瞬フリーになりました。ラストパスの精度も良く、高木の抜け出し、トラップ、フィニッシュ制度も抜群といった一連の流れでした。ここはミキッチが自ポジションを離れようと執拗に宇賀神に付いていくべきでしたね。

 

次にマンツーマン対策の2点目ですが、単純に1対1の状況で勝つことです。以下武藤のプレーのプレーで解説しますと。

 

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中盤まで落ちてきた武藤に水本がチェックにいっていますが、ボールを受けた武藤がそのまま反転し水本を交わしたというプレーです。1対1で相手を抜くことに成功すると前方にスペースができやすくなり、武藤はバイタル付近までドリブルでボールを運べました。興梠へのパスを塩谷にカットされてしまいましたが、塩谷がマーク対象である高木にそのままマンマークしていればパスを通され危険であったプレーでした。この辺の塩谷の対応はさすがです。

 

次はミキッチの1対1のプレーから。

 

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この試合ミキッチと関根のスピード対決の場面が多くみられましたが、ほとんどミキッチが勝利していました。関根は守備を苦手としているので比べるのはかわいそうですが、広島は90分を通して右サイドを制していました。後半の途中から関根を外し、宇賀神をこの位置にコンバートしたことをみると、監督の目からも関根の対応が危なく見えていたのでしょう。実際にPK謙譲のシーンも関根がミキッチに抜かれてのプレーでしたからね。

 

3点目はカウンター時であります。遅攻では守備ブロックが形成されているためマンツーマンで対応されてしまいますが、速攻ではマーク対象がはっきりしないため数的有利な状況を創りだしやすくなります。浦和1点目の場面から解説しますと。

 

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こんな感じで得点することができます。クリアーボールを収めた興梠の技術も素晴らしく、前3人(柏木、武藤、高木)のプレーの質も良かったです。結果オウンゴールという形で得点しましたが、攻撃の形は十分に創れていました。

 

そして最後の4点目になりますが、コンビネーションプレーでの攻め方を見ていきます。広島のプレー画像から。

 

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中盤まで落ちてきた茶島がそのままフリックし、裏に飛び出していたミキッチがサイドをえぐったという3人目が絡むプレーです。西川のセーブで得点こそなりませんでしたが、広島が決定機を創りだした場面でした。

 

ではまとめに入っていきます

今節のミシャダービーはいつもと違ったものとなりまして、完全マンツーマンでの対応となりました。

マンツーマン対策方法ですが

  1. スペースの創り方
  2. 1対1の勝負
  3. カウンター
  4. コンビネーションプレー   

以上の」4点が基本的に挙げられます。攻守においてポジショニングは違えどマッチアップする相手は変わらないので、コート上でのデュエルは見ていて見応えがありました。

 

今節は西川が好調であったのもあり浦和はクリーンシートを達成しましたが、前半のPKが決まっていれば結果は違うものになっていたかもしれません。この試合のウタカの評価がエルゴラッソで4.0と超辛口採点でしたが、それだけ決定機を演出していたとプラスの評価をすべきだと考えています。まあPK失敗もあったので5.5ぐらいが打倒なところではないでしょうか。

 

ミキッチのプレーですが攻守において活躍し、ほんとに36歳なの?というプレーが多かったです。試合には負けましたが、広島の右サイドは制していたと思います。ミシャが広島時代にミキッチを日本に連れてきた訳ですが、浦和がその選手の対応に苦しまされるのを見ていて、なんだか複雑な気持ちになりました。

 

最後に、浦和が苦手とするラスト5節の初戦を勝利したことで、浦和に優勝の文字が見えてきましたね。まだ川崎とは2ポイント離れてはいますが、今年の浦和は例年とは違う気がします。まあそのフレーズも毎年のように言ってはいますが、今年はどうなることでしょうか。

 

では、今日はこの辺で。

 

 

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