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Jリーグアナライズ

主にJリーグのチームを取り上げます

毎年上位に食い込む広島と浦和の共通システム

Jリーグは毎年のように優勝争いのチームが異なり、またどのチームが降格してもおかしくはない。近年の上位争いで言うと2011シーズンにJ2から昇格してきた柏レイソルのリーグ制覇、2012シーズンにベガルタ仙台の2位、2014シーズンにJ2から昇格してきたG大阪のリーグ制覇などがある。逆に残留争いでは2010シーズンにFC東京の16位(J2降格)、2012シーズンにG大阪の17位(J2降格)、2014シーズンにC大阪の17位(J2降格)などが思い当たる。そんな順位変動が激しいリーグではあるが、ここ数年安定して勝ち星を積み重ねているチームがある。そのチームとはサンフレッチェ広島浦和レッズであり、この2チームは同じシステムを採用している。広島は2012・2013・2015シーズンのJリーグ覇者、浦和は2014・2015シーズンで2位に付けており、今ではJリーグを観るに当たってこの2チーム抜きには出来ず、現代サッカーにまで影響を及ぼした。

今回はそんな広島と浦和の戦術を紐解いていく。

 

広島、浦和の簡単な背景

上記に述べた通り、広島と浦和のシステムは基本的に同じである。広島は2006-2011シーズンの約5年半ペトロヴィッチ監督(以下ミシャ)が指揮を執り、一度J2に降格したチームを見事に蘇らせた。その後金銭面から広島との契約が出来なくなり、2011シーズン残留争いに巻き込まれていた浦和がミシャにオファーを申し入れ、2012シーズンから浦和と契約を結び現在も浦和の指揮を執っている。ミシャと契約延長をしなかった広島は、当時広島でコーチをしていた森保監督が2012シーズンから監督に就任し、ミシャシステムの遺伝を引き継いだ。そんなミシャが考案した戦術は複雑なものであり、選手に求められる能力もかなり高い。

少し複雑ではあるが、攻撃時、守備時において、その特徴を解説していく。

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ミシャ監督

by Yahoo!ニュース

 

攻撃時の特徴

上3-4-2-1 (キックオフ時) 下4-1-5(攻撃時)

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1. SHとWBが高い位置を取り攻撃的な布陣となり、5トップ気味になる

ミシャ式の最大の特徴は最前線にアタッカーを5枚並べることで、相手が4バックの場合、敵陣の最終ラインで5対4と数的有利な陣形で攻められる点である。相手DFはCFとSHのケアは出来るが、人数が一人少ない分、外で構えているWBへのマークがしづらい。そこを活かしてSBから逆サイドのWBへのサイドチェンジが多く見られ、簡単に一本のロングパスで相手1/3エリアにボールを運ぶことが出来る。また相手SBがSHのマークに付くため、自陣の深いエリアまで守備に追いやられる。その結果、相手SBはスプリント回数と走行距離が自然と多くなってしまう。

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しかし今度は反対に、攻撃時には中盤にボランチが一人しかいない状況であり、この位置でボールを取られればカウンターの餌食となってしまう。ミドルサードでボールを奪われることを恐れ、ボランチが後ろを向いたプレーや、最終ラインへのバックパス、最終ラインに吸収されて5-0-5のような形になっては、前線に5枚ものアタッカーを並べるといったリスクをかけている意味がない。(浦和は稀に意図的にダブルボランチを最終ラインに落とし、両サイドのCBを高い位置に上げ、3-5-2の形になることがある。ボランチにゲームを組み立てられる柏木ではなく、その位置に守備的なボランチの青木が入ることでこの形になりやすい。特徴としては阿部と青木のダブルボランチが最終ラインのビルドアップに参加しているので、中盤でゲームメイク出来る選手がおらず、攻撃が得意なCBの森脇、槙野がサイドで高い位置を取り、そこで攻撃のアクセントを作る。)

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2. ワントップ、ツーシャドーの動き 

このフォーメーションにおいて最も難しいとされるポジションはシャドーであろう。その理由は、ワントップ、ツーシャドーのところではパターンで動くことが多く、故に非常に頭の使うポジションであるからである。特に加入一年目の選手は、この複雑なパターンを良く理解し、上手くゲームで演じられるまで時間が掛かる。動き方としては、前線のトライアングルは同じ動きをしてはいけなく、ワントップはゴールに背を向ける仕事が多く、三人目の動きを上手く使いながら、ボールをフィニッシュまで持っていく。

 

 3. 片方のボランチが最終ラインまで落ち、両サイドCBが横に広がり、4バックになる

最終ラインを4枚置く狙いはビルドアップに人数を割くためである。この戦術はゴールキックから足元でボールを受けることが多く、あまりロングボールやクリアーを多用しない特徴がある。前線からプレッシングをしてくるチームを攻略するため、ボランチの一人がヘルプで最終ラインまで下り、マークする対象を増やす狙いがある。相手が3トップの場合、最終ラインで4対3と数的有利を作ることができ、相手のプレッシングをかわせられる。

 また両サイドCBが広がり4バックになることで、両CBが攻撃参加しやすく、相手陣内の高い位置を取ることができる。

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守備時の特徴

 5-4-1(守備時)

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1. WBが最終ラインまで落ち、5バックになる

5-4でブロックを組み、最終ラインで人数的に有利な状況に持ち込む。ブロックを編成するためにはWBとSHの運動量が求められ、WBは攻守において最前線から最終ラインまでの縦のラインを広くカバーし、相手が4-4-2のときSHは相手SBのマークに付かなければいけない。特にSHの守備意識が重要であり、ここをさぼると簡単に相手SBに突破を許してしまう。

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2. 人に付く守備ではなく、ゾーンで守る

ボールを奪われると無理にボールを奪いに行くのではなく、まずはリトリートし、図のように5-4の形でブロックを組む。前線での守備は一人がやみくもにボールを奪いに行くのではなく、複数人が流動的に動いて相手のパスコースを切っていく。ブロックを形成した際には決まったマークの担当はないので、ゾーンに入って来た相手選手に対してボールを奪いにいく。

 

以上がミシャシステムの解説である。毎年多くのチームがこのシステムに苦しめられ、今でも対策方法が考えられている。他チームからすれば、長いリーグ戦を戦っていく上で広島と浦和の2チーム、計4回も対戦することになる。これは勝点で言えば12ポイントも関与し、特に上位争いをしているチームにとって落とせない試合となりそうだ。

 しかし一見手の打ちどころのないシステムに感じられるが、ミシャシステムが披露されてから何年も経った今、除々に他チームも上手くこのシステムを攻略してきている。(4~5年経った今でも完全に攻略されないことが、このシステムの異常な強さではあるが。笑)

 では次回は他チームがこのシステムにどう対抗しているのかを取り上げていく。